YOUCAN LIFE

25歳、自由人

53.労働の価値に気付いた話

 

 *新卒

大学を卒業して当たり前のように会社に入った。

やりたいことも、なりたいものも、なかったのに、どういうわけかエンジニアになった。

 

そして会社を辞めた。あっさりと。

楽しくなかった。社会人になれなかった。慣れなかった。

 

 *田舎

どこか遠くへ行きたくて、外へ飛び出した。

国内に留まっているところが私の気の小ささの表れ。

 

お金がなくても幸せか。

お金があれば幸せか。

何をするのが楽しいか。

自分はどう生きたいか。

 

初めて一人暮らしをして、生活する大変さを知った。一人が惨めなことも。誰にも見られていない開放感の裏にある虚しさも。

 

時間だけがたくさんあって、

ぎりぎり生活できるだけのお金しかなかった。

どこにも行けずに誰とも仲良くなれずに、静かな部屋に響くスナックのカラオケの音を聞きながら天井を眺めてた。

 

こんな暮らしも悪くはない。

違う世界を知れてよかった。

でもやっぱり違う。

そう思って帰ってきた。

 

 *模索

無職になったり、バイトしながら各地を転々としてみたり、コロナより前から一人で自粛してみたり。

 

そうして、やっぱりお金は大事だと気付いた。

そのためには正社員。

正社員、臨時職員、派遣、バイト。

正社員が一番給料が良かったから。

それに、何の趣味もない私に時間はそんなに必要ない。

 

 *就職

エージェントを頼って就活をして、

良いように言いくるめられて契約社員

入社日も遅らされて貧乏は生きる術がない。

自粛期間中に外に働きに出て、最低限のお金を稼ぐ。

 

派遣にしてもそうだけど、

私はそんな短期間では環境になじめない。

2ヶ月くらいは本当に誰とも会話しない。

特段、それを改善したいと思っているわけでもないけれど。

 

 *楽しみ

私にはやりたいことがない。

ものを生み出すことは得意じゃない。

妄想力がない。夢を見ない。

 

私の楽しみはアウトプットではなくインプット。

外に出かける。本を読む。映画を観る。

ネットサーフィンをする。TVを観る。動画を観る。おいしいものを食べる。

自分が知らないことを知ること。

新たな発見をすること。

そういうことで私の心は動かされる。

毎日の生活の中にそういうことで楽しみを見つけている。

 

 *お金

だから、そのために、そのサービスを受けさせてもらうために、お金を払う。

このコロナの自粛で困っている人がたくさんいて、無料でつくったものを見せてくれる人がいて。そういう人たちにだってお金を払いたい。

でも私にはお金がない。

私だけがいい思いをして、ありがとうという言葉に変わるお金を渡してあげられない。

 

不要不急の外出こそが、私を生かしてくれるものだった。それこそが私の毎日だった。

 

時間はいらない。お金を稼ぐ。

そして日々の中心が仕事にならないように、気持ちを整える。

こうやってまた一から、頑張ってみようと思った。

 

 *これからの生き方

仕事をせずにお金持ちになりたい。

どんなに考えたって野望はこれに尽きる。

でもそんなの非現実的だから、

現実社会を生きる私は堅実な道を行く。

 

ここに一生いるつもりはない。

一生いたいと思える場所になれるならそれでもいい。

やりたいことが見つかるならそれでもいい。

でも辞めること、離れることだけが解決策じゃない。

やめるのも続けるのも同じ濃度の選択。

やめられるのも続けられるのも才能。

 

今気にしていることだって、今考えてることだって、いつかは変わってしまうけれど、無駄なことなんて一つもない。

間違った道なんて一つもない。

 

隣の芝生はいつも青いから。

ないものねだりは尽きない。

僻んでるだけなら他のことに時間を使おう。

それが目標になるなら頑張ろう。

 

 *再スタート

スタートはいつでも切れる。

さあ、今、ここから、よーいスタート。